【宿のような家】「どうやって叶えるか」を自分のこととして考えてくれる姿勢が...
兵庫県 F様邸
ポーターズペイント
家事ラク間取り
中庭
住宅密集地
吹き抜け
子育て
- 竣工:2025年3月
- 家族構成:夫婦+子
- 構造:在来軸組工法
- 敷地面積:162.94㎡
- 延床面積:131.93㎡
- 2階建て
Q1/実はスタッフの家だと伺ったのですが...?
コーディネーターとして入社し、2級建築士として、また広報として、勤務しているスタッフの自邸です。子育てと仕事を両立する機能性と細部までこだわりぬいたデザインがポイントです。空間をグリットで捉え、線と面をあわせてすっきりと端正な仕上がりに。踏み板が浮かぶ木製階段は大工さんの協力と工夫で実現した力作です。経年後の変化を知るために敢えて取り入れた素材など、自邸だからこそできる挑戦も随所に。プロとしての仕事の幅を大きく広げる家づくりとなりました。
Q2/家を建てようと考えたきっかけを教えてください
子どもの保育園の関係で3歳児クラスになる春までに住所を確定したいと考えていました。実家への利便性も考えながら土地探しをスタート。中庭を設けることは最初からの希望でしたので、ある程度の広さが必要でした。そこに理想の上物を叶えるとなると、予算総額から土地に充てられる金額が割り出されます。郊外まで候補エリアを広げ、今の土地を見つけました。老後も暮らしやすいフラットな立地と駅までの距離も決め手でした。
Q3/図面はご自身で描かれたんですね
はい。まずはすべての制約を取り払って、自分の理想をすべて盛り込んで設計してみました。そこから現実的に考えながら削っていこうと考えていたんですが・・・。せっかくの機会ですし、予算面の折り合いをつけながら叶えていくのがes ARCHITECTの強み。どれだけ制約を乗り越えていけるか挑戦してみよう、と。その経験が今後の家づくりの引き出しになるという確信もありました。
Q4/間取りの特長を教えてください
生活動線は特にこだわった部分です。廊下をなくし、玄関ホールから直接LDKへ。間仕切り扉も設けていません。扉の開閉も毎日のこととなると意外と手間になりますし、結局は開け放って使うことになるので。洗面台など水回りは掃除のしやすさを考えて建材や部材を選びました。仕事と子育ての日常を支えられるよう、機能を考慮しつつデザインに妥協しないことがこの家のコンセプト。室内は結構段差があるのですが、線や面を揃えることで一体化させ、敢えて段差を活かす空間づくりを模索しました。
Q5/デザインの特長を教えてください
そっと佇むような、静かなデザインが理想。白やグレーを基調に木目を加え、落ち着いた中にアクセントを取り入れました。黒は力強い色ですので、引き締めたいポイントにのみ取り入れてメリハリをつけています。逆にあまり目立たせたくない場所、たとえば窓サッシの室内側のみをホワイトにカラー変更するなど、細かく調整しました。
Q6/自邸だからこそできる、実験的な挑戦とはどんなものですか?
下屋の屋根部分は0.5寸勾配で、正面から見るとほぼ水平に見える斜度。雨漏りのリスクが上がると言われているけれど、実際に住んでみてどうなのか。どんなメンテナンスが適切なのかを知りたくて、敢えて取り入れてみました。その他、床面のフロアタイルは、取り入れる場所によって微妙に変化をつけています。よく見ると、大きさや目地の有無などが違っていて。サンプルだけ見ても分かりにくいけれど、実際に使われている空間で見れば印象の違いが分かりやすいと思い、取り入れました。
Q7/最も施工が難しかったのはどの部分ですか?
木の片持ち階段です。荷重を支える柱を作らず、踏み板と蹴込板だけが浮かび上がるデザインに。壁をふかし、何センチ噛ませれば支えられるのか、細かく計算し、大工さんがつくってくれました。鉄骨階段はよくありますが、木でつくるのは珍しく、大工さんにはたくさん工夫していただきました。階段下はヌックに充てて、モールテックの左官仕上げ。余分な柱や凹凸など、ノイズのないすっきりとしたデザインになりました。
Q8/予算を抑えた部分はありますか?
浴室は一般的な1600サイズのユニットに。また、トイレの手洗いボウルは洗面台用の部材を用いるなど、既製品をうまく組み込みながら予算を抑えています。見えないところや見せないところを徹底的にシンプルにすることで、コストダウンに一役買っていますね。予算をかけるところ、抑えるところのメリハリをつける家づくりはes ARCHITECTの特徴。自らの住まいでもそれを実践できました。
Q9/住み始めて「これはよかった」と感じるのはどんなところですか?
前面道路のある南側は開口がなく、東西に設けた吹き抜け上部の窓から光を取り込んでいます。階下から見上げると空だけが見えて開放感がありますね。西向きに窓がありますが、高い位置にあるから西日が直接入らず、とてもよかったです。それと、第一種換気にしたことも正解でした。外気の影響を受けずに換気ができるから、間仕切り扉が少なくてもエアコン1台で快適。壁付けではなく、天井ビルトインタイプにしたのもよかったですね。リビングは本来、壁付けタイプを2台設置することが望ましいとエアコンメーカーさんにも言われていたのですが、ビルトイン1台で設置場所を工夫し、存在感を感じさせないようにしています。
Q10/家づくりの感想を聞かせてください
家を建てるって、やはり大変なことですね。土地探し一つ取っても同じ敷地は2つとなく、タイミングや運も影響する中で、的確に決断していかなければなりません。家づくりがはじまってからは、どうすれば理想のイメージが叶えられるか試行錯誤の連続。今回、es ARCHITECTに施主として関わってみて、大工さんや業者さん、スタッフのすごさを改めて実感しました。「どうやって叶えるか」を自分のこととして考えてくれる姿勢がこんなに心強いとは。これからも、お客様によろこんでいただける家づくりを叶えていきたいです。